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【占例】知識への投資が、いつの世でも最高の利子を生む

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米国の100ドル紙幣の顔であり、建国の父の一人であるベンジャミン・フランクリン。 彼が残した言葉の中に、現代を生きる私たちの背中を強く押してくれるものがあります。

「もし財布の中身を頭につぎこんだら、誰も盗むことはできない。 知識への投資が、いつの世でも最高の利子を生む」

物質的な富は奪われることがあっても、身につけた知恵と経験は誰にも奪うことのできない財産である。 この言葉を、易経を通して読み解いてみました。

今回得られた卦は、以下の通りです。

【易経】 第7卦「地水師(ちすいし)」 五爻(ごこう)

易経による多角的視点

易経で得た卦を読み解く際、私は3つの視点を大切にしています。
大局を見る「鳥の眼」、詳細を見る「虫の眼」、そして流れを見る「魚の眼」です。

1. 鳥の眼(俯瞰):リーダーシップと自己規律

【卦辞】 師。貞。丈人吉、无咎。 (師は貞なり。丈人なれば吉にして、咎なし。)

「師」とは、本来「軍隊」を意味しますが、転じて「集団を導くリーダー」や「師(先生)」を表します。
フランクリンの言葉と重ね合わせると、
これは「知識によって自分自身という軍隊を率いる」状態を指します。
自分自身を統率するには、確固たる正義と規律が必要です。易経は、経験豊かで徳のある人物(丈人)が指揮を執るならば、その人生(戦い)は吉であると告げています。

2. 虫の眼(具体):知識という獲物を得る

【爻辞】 田有禽。利執言。无咎。長子帥師、弟子輿尸。貞凶。

五爻(5番目のライン)は、この物語の核心です。

  • 「田に禽(えもの)あり」 田畑に害獣、あるいは獲物がいる状態です。これをフランクリンの文脈で読めば、**「知識への投資によって得られる『利益(利子)』や『解決すべき課題』」**が目の前にあることを示しています。
  • 「言(げん)を執(と)るに利(よろ)し」 言葉を尽くして説得し、あるいは号令をかけて、その獲物を捕らえるのが良いとされています。知識はただ持っているだけではなく、適切に行使して初めて価値を生むのです。
  • 「長子 師(し)を帥(ひき)いる」 ここが最も重要な警告です。軍(自分自身や知識)を率いるのは、経験豊富な「長子(リーダーの器を持つ者)」でなければなりません。もし、未熟な「弟子(次男以下の者)」が指揮を執れば、屍(しかばね)を車に乗せて帰るような失敗(凶)に終わります。

つまり、「中途半端な知識(弟子)で動くのではなく、熟成された知恵(長子)で事にあたれ」と教えているのです。

3. 魚の眼(流れ):理想のあり方

【大象伝】 地中に水有るは、師なり。君子以て民を容(い)れ衆を畜(やしな)う。

この卦は、大地の地下に水(資源・知恵)が蓄えられている姿です。 君子(理想的なリーダー)は、この姿に学び、多くの人々を受け入れ、養い育てます。

知識への投資とは、単に情報を詰め込むことではありません。 **「民を容れ衆を畜う」**ように、自分の中にある多様な能力や可能性を養い、器を大きくすることこそが、真の自己投資なのです。

むすび

ベンジャミン・フランクリンが「知識への投資」を説いたように、易経の「地水師」もまた、自分自身の中に眠る資源(水)を正しく導くための「師」の存在を求めています。

その投資の結果得られるものは、五爻が示す「田の禽(獲物)」のように確かなリターンがあります。しかし、それを手にするためには、付け焼き刃ではない、本物の知性というリーダーシップが必要なのです。

100ドル紙幣の肖像画となり、国家のリーダーとして歴史に残ったフランクリン。 彼の姿は、易経が示す「丈人(徳のあるリーダー)」そのものだったのかもしれません。

知識という最強の投資を行い、自分自身の人生から国を率いる「師」となったのです。