AI×ロボットが拓く新時代
2026年は「ロボティクス元年」と言われています。 AI(人工知能)とロボット工学の融合により、私たちの生活や労働環境が本格的に変化する、時代の大きな転換点になると予測されているからです。
では、この「ロボティクス元年」は、人類にとってどのような未来をもたらすのか? 今回は、この来たるべき2026年の様相について、易経に問いかけました。
問い: 「2026年、ロボティクス元年の未来について」
得られた卦は、易経64卦の始まりにして最強のエネルギーを持つ卦でした。
【易経】第1卦「乾為天(けんいてん)」 上九(じょうきゅう) (付記:用九)
卦辞から見るテーマ:圧倒的な創造エネルギー
【卦辞】 乾。元亨利貞。 (乾は、大いに通りて正しきに利ろし。)
「乾為天」は、6本の爻(こう)すべてが陽(―)で構成された、純粋な創造エネルギーの塊です。 「元亨利貞(げんこうりてい)」という四徳を備え、万物を生み出す天の働きそのものを象徴しています。
これは、2026年から始まるロボティクス革命が、小手先の変化ではなく、人類史に残る「成功と進展のエネルギー」を秘めていることを示しています。まさに「元年」にふさわしい、力強い卦が出たと言えるでしょう。
爻辞(上九)の警告:バブルと「亢龍」の悔い
しかし、ここで易経は重要な警告を発しています。今回出た場所は、一番上の「上九」です。
【爻辞】 亢龍(こうりゅう)悔い有り。 (昇りつめた龍は、進みすぎて後悔することになる。)
「元年(始まり)」を占ったにもかかわらず、出たのは「極点(終わり)」の爻でした。これは何を意味するのでしょうか?
これは、「期待先行の過熱(バブル)」への警鐘と読み解けます。 2026年、ロボット技術やAIへの期待は最高潮に達し、投資や開発競争は過熱するでしょう。しかし、「乾為天」の勢いが強すぎて、実態が伴う前に期待だけが先行しすぎると、必ず揺り戻しや失望(悔い)が訪れます。
「急激に進歩するものには、歪みが生じる」。 私たちはこの技術の進化に対し、楽観視するだけでなく、冷静な視点を持つ必要があると、易は告げています。
用九が示す真の未来:リーダー不在の「調和」
「乾為天」は特殊な卦であり、すべての爻が変じた時の読み方として「用九(ようきゅう)」という特別な言葉が存在します。ここにこそ、ロボティクス社会の真の姿が描かれています。
【用九】 群龍(ぐんりゅう)首(かしら)無きを見る。吉。 (多くの龍が現れるが、リーダーとなる頭が見当たらない。それこそが吉である。)
通常、組織にはリーダーが必要ですが、この「乾為天」の究極の形においては、リーダーがいなくても個々が自律し、全体として調和している状態こそが「吉」であると説いています。
これはまさに、これからのロボティクス・AI社会の理想形ではないでしょうか。 中央集権的な一人のリーダーが管理するのではなく、無数のAIやロボットが、ブロックチェーンや自律分散システムのように、「リーダー不在のまま協調して動く世界」。
地球規模の課題解決は、一人の英雄によってではなく、こうした「群龍(自律した個々の存在)」のネットワークによって成されることを示唆しています。
大象伝の教え:私たちはどう在るべきか
【大象伝】 天行(てんこう)は健なり。君子以て自彊(じきょう)して息(や)まず。 (天の運行は健やかで、一瞬たりとも休むことがない。君子はこの天に習い、自ら努め励んで止まることがない。)
ロボティクスという「天の働き」は、休むことなく進化し続けます。 その中で私たち人間がとるべき態度は、テクノロジーに依存して怠惰になることではありません。
テクノロジーの進化と同じ速度で、私たち自身も、知識や精神性をアップデートし続けること。 ロボットが労働を担う時代だからこそ、人間はより人間らしく、学び、成長し続ける姿勢こそが、2026年以降を生き抜く鍵となるのです。

