現代において、「空気を読む」ことが美徳とされ、無言の同調圧力が蔓延しています。
「空気を読め」「場の雰囲気を壊すな」「空気が悪くなる」といった言葉は、わたしたちから“言葉を使う勇気”を奪っていると感じます。
この記事では、「空気を読む」ことが当然とされる社会において、あえて「鈍」という点の大切さを考察します。
「空気を読む」という現代の疲労
「空気を読む」という言葉は、便利であると同時に、非常に圧力を感じさせる言葉でもあります。
本音を言わないことが賢さであるとされ、感情よりも空気が優先され、言葉よりも“察する力”が求められます。それは、言葉という人間最大の発明を否定しているかのようです。
言葉にする前に「空気を読め」という風潮は、私たちから“伝えること”を奪い、結果として“つながること”を阻んでしまうのです。
「空気を読まない」生き方を選んだ人
この世界には、「空気を読む」どころか、仏像を焚き火にして温まった禅僧もいます
同じように「空気など気にしない」たちも歴史上では数多く登場します。
私たちがよく知る偉人たちのなかにも、常識を越えて、空気を超えて、自分の真実に従った人たちがいました。
たとえば…
- アインシュタイン
教授の話に興味を持てず、いつも違う理論ばかり考えていた学生時代。
卒業後もしばらく社会から“変わり者”扱いされていた彼は、
やがて「相対性理論」という世界の常識を覆す発見にたどり着きました。
- スティーブ・ジョブズ
会議の最中に裸足で歩き回ったり、食生活も極端な偏食家。
周囲から変人と呼ばれながらも、「空気は読まず、直感に従う」という内なる感覚に徹底的に忠実だったからこそ、
今のiPhoneの原型を築きました。
- 岡本太郎
「芸術は爆発だ!」の言葉で知られていますが、
美術界からの賞賛や理解を求めず、“世間に迎合しない表現”を貫いた結果、
万博の「太陽の塔」など、誰にも真似できない存在になりました。
どれも、いまの価値観や空気を読む文化からすれば“非常識”と言われるかもしれません。
けれど彼らは、空気を読まなかったからこそ、自分の真実とつながり、それを世界に届けることができたのです。
屯で考えてみる言葉
- 「鈍」は、にぶい、繊細ではないという意味ではなく、「余計なものを拾わない力」を指します。
- 「純」(じゅん)は、もっぱら、ただひたすらに一つを貫く心。
- 「頓」(とん)は、禅の思想でたちまちに、段階を経ずに真理に至ること(=頓悟)を意味します。
この3つの漢字には共通して「屯(とどまる・力が集中する)」が含まれています。つまり、周囲に振り回されず、わたしたちの内面に集中する生き方こそが、“益々よくなる”一つの道であるといえます。
わたしたちは今日ここから生き方を選べる。
私たちの心は、時に「はやく、はやく」と過剰に働きすぎてしまいます。
その場で人の顔色を読む、言葉にすぐ反応する、“察して”動こうとする。それは決して悪いことではありません。
しかし、過剰に周囲の空気を読み取ることは、自身の心を疲弊させてしまう可能性があります。
わたしたちは、周囲の空気を読み取ることに過剰に意識を向けるのではなく、自身の心に耳を傾け、純粋に生きることが大切です。
もしも、「自分の心に圧力をかける行動」になっているのであれば、立ち止まって考えることも必要です。
時には、周囲の空気に左右されずに言葉を発し、誰かに「それ、違うと思うよ」と言われても「そうかな」で済ませない勇気を持つことも大切です。
わたしたちは皆、「自分も尊重して生きること」に集中することができます。
空気より、自分の内なる声を聴く
重要なのは、外の空気を読むことではなく、
わたしたちの内側にある“心の声”に耳を澄ますことです。
- 今、本当はどう思っているのか?
- 何を言いたくて、何を我慢しているのか?
- 本音を押し殺してまで、誰かの機嫌を取る必要はあるのか?
そうして、内側の声に正直であることが、外の世界に影響を与えていくのです。
鈍であることは、勇気を持った選択だ
自分の選択に悩んだ時、こう考えてみてください。
- 鈍でも悪いことじゃない
- 愚かに見えても、まっすぐでいたい。
- 空気を壊しても、心のこえは無視しない。
わたしたちは、鈍であってもいい。
わたしたちは、純ならもっといい。
それが、ある瞬間に頓(とん)と背中を押し、現実を変えていく力になるのです。
「空気を読まない」という選択肢
空気を読まない人は、時に場を和らげます。
一人が空気を無視して「本音」を語ることで、
他の誰かも安心して本音を出せるようになることがあります。
つまり、「空気を読まない」というのは、
自分のためだけでなく、まわりを解放する優しさにもなり得るのです。
鈍で純でも、世界をちょっと楽にする
「空気を読む」ことで疲れているあなたのやさしさはきっと本物です、
ときには「空気を読まない」ことで、あなた自身を守ってあげてください。
◆ 鈍でも悪くない
◆ 純でありたい
◆ 頓智をきかせる
心をどのように持つかで、世界が変わるのであれば、
わたしたちは、日々新たに、益々よくなっています。