わたしたちは、毎日多くの言葉に直面しています。
何気ない挨拶の時に交わす言葉。ちょっとした独り言。
無意識の時にふとわたしたちの心の中で思う言葉もあります。
しかし、わたしたちの中でも特別な力を持った言葉があるとすれば、それは感謝の言葉「ありがとう」です。
「ありがとう」は、感謝の気持ちを表すだけの言葉ではありません。
それは、わたしたちの心のあり方を整え、人生を望む方向へと進めていく、積極的なマインドセットの“ふるさと”のようなものです。
この記事では、感謝を「口癖」にしていくことで人生がどのように変化していくのかを、
一つのむかし話と5つの視点からご紹介します。
読み終えたとき、あなたの中で今日からもっと「ありがとう」を探す毎日が始まることを願っています。
有難屋吉兵衛のエピソード
昔々、有難屋善兵衛という男がいました。
この男は、感謝一念で知られており。
街の人々は、善兵衛の口からは「有難い」しか聞いたことがないと口を揃えるほど、大変よろしい男です。
ある日、善兵衛は石につまずき頭をぶつけ、大きな饅頭のようなコブを作ってしまいました。
しかし、善兵衛は痛いとも言わず、両手でコブを押さえて「有難い、有難い」と感謝していました。
それを見たお隣さんは、「善兵衛さん、どうして大きなコブまでできて、怪我をしているというのに、何が有難いのですか?」と尋ねました。
すると吉兵衛は、「本当有難いですよ。もしかしたら頭が割れていたかもしれないのに、こんなコブだけで済んだのだから。本当、有難い、有難い。」と答えました。
この善兵衛の姿勢は、決して大げさな教訓ではなく、
「どんな出来事の中にも感謝を見つける」という、生きる知恵そのものです。
わたしたちも、日々の小さな痛みやつまずきの中に、善兵衛のように「ありがたい」を見出すことができれば、その瞬間から、心の景色はほんの少し明るく変わります。
1 感謝の言葉は、心の景色を塗り替える
わたしたちの心は、毎日多くの出来事に直面しています。
嬉しいこと、悲しいこと、うまくいったこと、失敗したこと──。
しかし、その出来事にどんな意味づけをするかは、すべては私たちのマインドセット「心の置き方」次第です。
例えば、雨の日。「最悪、ぬれるし洗濯物が乾かない」と思えば気分は沈みます。
しかし、「恵みの雨だな。空気も潤ってくれて、ありがとう」といい面に目を向け、感じることができれば、
同じ雨も心を潤す存在に変わるのです。
「ありがとう」を習慣にすることで、心の景色そのものが優しくより彩られていくのです。
2 感謝は“今”に意識を向けてくれる
もっと稼がないと、もっと認められたい、もっと変わらないと──。
現代は「足りないもの」に意識が向きがちな社会です。
そんなときこそ、「ありがとう」は視点を変える魔法の言葉になります。
・たった今、自分が持っているものに目をむける。
・「朝起きられたこと」、「ごはんがあること」、「誰かがくれた笑顔」
・今この瞬間の自分に、十分満足できる感謝。
どんなに小さなことでも、「ありがとう」と言葉にすることで、
未来の焦りや過去の後悔ではなく、“今ここ”に心を戻してくれるのです。
3 「ありがとう」は自分を大切にする言葉
感謝というと、つい「誰かに対しての言葉」だと思いがちです。
しかし、実は「ありがとう」を含めて、あらゆる言葉はわたしたち自身にも向けられている言葉なのです。
「今日もいい仕事ができて、えらい」「がんばったね、わたし」
そんなふうに、自分に対して「よくやった」と声をかけてあげることで、自己肯定感がじんわりと育っていきます。
毎日完璧でなくてもいい。できなかったことばかりを見なくていい。
自分を責めるより、まずは「ありがとう」という感謝を贈る。
そうすれば、心の中に安心感が芽生え、自分という存在に益々感謝を深めて今に目をむけられるようになります。
4 感謝は人とのつながりを深めてくれる
誰かに「ありがとう」と言われて、嫌な気持ちになる人はいません。
それは、感謝の言葉が「人と人との信頼」を育てるからです。
挨拶にプラスして「ありがとう」。
手助けを受けたら「ありがとう」。
感謝してくれることに「ありがとう」。
そんなふうに、日常の中でたくさんの「ありがとう」を重ねていくと、自分自身が「感謝の橋渡し役」になっていきます。
人と人の間に、優しさやあたたかさが流れはじめ、気づけばあなたのまわりに、やさしい世界が広がっていくのです。
5「ありがとう」を探すことが、ワクワクを育てる
ときには、感謝が見つからない日もあるかもしれません。
イライラしたり、落ち込んだり、どうしようもない日もある。
しかし、そんな日こそ、あえて感謝を「探しに行く」姿勢が大切です。
「ありがとう探し」は、ワクワクする希望探しでもあります。
日常では気づかないような小さな幸せに目を向けることで、「生きていてよかった」と思える瞬間が訪れるでしょう。
感謝は、外にあるものではなく、私たち自身の内面にある「心の置き所」によって育まれるものです。
まとめ:「ありがとう」は未来をつくる習慣
「ありがとう」は、誰にでも、どんなときでも使える最強の言葉です。
だからこそ、日常の口癖にしてしまうことが、人生を整える第一歩となるのです。
最初は照れくさくても構いません。形だけでも構いません。
しかし、今日から「ありがとう」と口に出してみてください。
それは小さな一歩ですが、あなたの人生にとって、とても大きな意味を持っています。
感謝は、気づいたその瞬間から始められる、私たちの心を豊かにする「習慣の魔法」なのです。
今日という1日に、感謝を探してみましょう。
そして、読んでくださったあなたに、心からの「ありがとう」を。
日々新たに、益々よくなります。