このブログサイトで日々目指している「益々善成」という状態――
それは、「日々新たに、益々よくなる」という、絶え間ない自己成長とより良いあり方への願いです。
実は、古くから伝わる心の鍛錬法の一つに「禅定（ぜんじょう）」というものがあります。
漢字は異なりますが、「禅定と善成」この偶然の音の一致は、「益々善成」を毎日考える上でより良い視点に高めてくれると感じました。
この記事では、宗教的な側面を深く掘り下げるのではなく、「禅定」という言葉が持つ「心を静め、集中し、内なる力を育む」というエッセンスと、その段階的な深まりを示唆する「九次第定（くしだいじょう）」という考え方をに、故きを温ねて新しきを知るとし「益々善成」を原則とすることの普遍的な知恵を探求していきたいと思います。
昔の人々が真摯に向き合った「心の力」の軌跡は、言葉遣いや文化背景こそ違えど、より良く生きようとする思考の力が辿り着く、普遍的なエッセンスに繋がりそうです。
さあ、「Zenjō」という響きに導かれ、知恵と出会い、「益々善成」をより深く、豊かなものにしていく旅へと、出発しましょう。
「静けさ」と「成長」 “Zenjō”という音に秘められたメッセージ
「禅定」とは、修行法の一つで心を集中し、雑念を退け、真理を悟るための瞑想です。
次に「禅定」という言葉が持つ、その言葉の意味に注目してみましょう。
「禅」や「定」という文字からは、「心を静める」「一点に集中する」「動じない安定した心」といったイメージが浮かびます。
わたしたちの心が日常の喧騒や雑念から解放され、澄み渡った水面のように静かで、一点の曇りもない状態。
そして、その静けさの中で、物事の本質を見つめ、内なる洞察力や集中力を研ぎ澄ませていく心の働き、と捉えます。
では、このような「心の静けさ」や「集中した状態」が、わたしたちの「益々善成」――
つまり「日々新たに、益々よくなる」という日々の成長と、どのようにつながるのでしょうか。
わたしたちが何か新しいことを学ぼうとする時、難しい問題に取り組もうとする時、あるいは自分自身の心と向き合い、より良い習慣を身につけようとする時、まず必要となるのは「落ち着いた心」と「集中力」ではないでしょうか。
心がざわついていては、新しい知識もスムーズに入ってきませんし、複雑な思考もまとまりません。感情に波があっては、冷静な判断も、粘り強い努力も難しくなります。
「瞑想」で目指す「心の澄み切った状態」は、わたしたちが現代において「益々善成」し、自己を成長させていくための、まさに土台となる力なのです。
心が静まり、集中力が高まることで、わたしたちは自分自身の内なる声に耳を澄ませ、本当に大切なものを見極め、目標に向かって効果的にエネルギーを注ぐことができるようになります。
「益々善成」という言葉には、単にスキルアップするだけでなく、人間としてより成熟し、より調和の取れた状態へと進んでいく、というニュアンスも含まれています。
それは、表面的な変化だけでなく、内面的な質の向上を伴う成長です。
そして、そのような質の高い成長は、やはり「心の静けさ」と「深い自己理解」なしには成し遂げられないのではないでしょうか。
「ぜんじょう」という同じ響きを持つ二つの言葉。「心を静め集中する」という意味合いを持つ「禅定」と、「日々新たに、益々よくなる」という意味である「益々善成」。
この二つは、相乗効果として、内なる心の鍛錬が、外なる成長や自己実現へと繋がっていくという、普遍的な真理を示唆してくれているのかもしれません。
「九次第定」に学ぶ、成長の階段 – 段階を追って深まる「益々善成」
「禅定」の知恵の中には、「九次第定（くしだいじょう）」表される、心の集中や静けさが段階的に深まっていくプロセスについての教えがあります。
これは、心が徐々に外界の刺激や内面の雑念から離れ、より純粋で安定した状態へと移行していく、九つのステップを示しているとされています。
ここでは、それぞれの段階が持つエッセンスを、「益々善成」の旅における「心の成長ステップ」として、比喩的に読み解いてみましょう。
わたしたちの「益々善成」への道のりもまた、このように段階を経て深まっていくものであり、各ステップで得られる心の状態は、日々の生活や自己成長において大きな力となるはずです。
【心の集中と喜びを育む段階 – まずは、内なる静けさの入り口へ】
- 第一の階段：「心が一つに定まり始める喜び」
わたしたちが日常の騒がしさから少し離れ、例えば趣味や仕事、あるいは静かに自分と向き合う時間に意識を向け始めた時、心が散漫な状態から解放され、一つのことに集中し始める感覚。
そこには、初めて味わうような清々しい喜びや充実感が伴うことがあります。これは、心が余計なものから離れ、内なる静けさの入り口に立ったしるし。
わたしたちの「益々善成」の旅も、まずはこの「一点に心を向ける心地よさ」を知ることから始まるのかもしれません。
- 第二の階段：「内なる静けさと喜びが深まる」
最初の集中が深まると、外からの刺激だけでなく、わたしたち自身の心の中から湧き上がってくる様々な思考や感情の波も次第に穏やかになってきます。
心がより安定し、内側から湧き出るような、より深く、静かで満ち足りた喜びを感じられる段階です。
この状態では、わたしたちは自信を持って、より落ち着いて物事に取り組めるようになります。「益々善成」の道のりにおいて、これは、自分自身の内なる力への信頼が芽生え、安定した心の土台が築かれ始める時期と言えるでしょう。
- 第三の階段：「喜びも静まり、穏やかな幸福感に満たされる」
さらに心の集中が進むと、第二段階で感じていたような高揚感を伴う喜びも次第に静まり、より落ち着いた、穏やかで安定した幸福感に包まれます。心が澄み渡り、自分自身と周囲の世界を、ありのままに、そして肯定的に感じられる状態です。
この段階では、わたしたちは感情の起伏に振り回されることなく、常に平穏な心でいられるようになります。
これは、「益々善成」の過程で、小さな成功や困難に一喜一憂せず、常に前向きな姿勢を保つ力の源泉となるでしょう。 - 第四の階段：「苦楽を超えた、完全な心の平静」
心の修養がこの段階に至ると、喜びや楽しみといった感覚すらも超越し、苦しみも楽しみもない、完全に平静で純粋な心の状態が現れます。全ての感情的な波立ちが収まり、鏡のような心で、物事をただありのままに観じることができる。
この究極の心の安定は、わたしたちが人生における様々な出来事に直面した際に、動じることなく、常に最善の判断と行動を選択できる、まさに「益々善成」を体現するような強靭な精神状態と言えるかもしれません。
【心の広がりと解放を体験する段階 – わたしたちの意識は、どこまでも自由になれる】
- 第五の階段：「無限の空間との一体感」
心が形あるものへの囚われから完全に自由になると、まるで無限に広がる大空のような、制約のない広がりを感じる心の状態が現れます。自分という小さな枠を超え、意識がどこまでも拡大していくような感覚。これは、わたしたちが日々の悩みやこだわりから解放され、もっと大きな視点から物事を捉え、自由な発想や行動を生み出すためのヒントを与えてくれます。
- 第六の階段：「無限の意識との一体感」
空間的な広がりを超え、今度はわたしたちの「意識」そのものが無限であると感じられる段階です。自分と他者、自分と世界との境界が薄れ、全てが繋がっているような深遠な感覚。
この体験は、わたしたちの中に深い共感力や慈愛の心を育み、他者とのより調和のとれた関係性を築く上で、大きな力となるでしょう。
- 第七の階段：「何も所有しない、こだわりのない心の自由」
さらに心の探求が進むと、「何もない」「何も所有していない」という、あらゆるこだわりや執着から完全に解放された心の状態が現れます。
これは、物質的なものだけでなく、考え方やアイデンティティといった精神的なものへの囚われからも自由になった、究極の心の軽やかさと言えるかもしれません。
- 第八の階段：「意識があるともないとも言えない、超微細な心の領域」
これは、言葉で表現するのが非常に難しい、極めて微細で深遠な心の状態です。
明確な意識や思考があるわけでもなく、かといって全くないわけでもない。
日常的な心の働きをはるかに超えた、静寂と光明に満ちた領域。わたしたちの「善成」の旅において、これは、通常の思考では到達できないような深い洞察やインスピレーションが生まれる源泉、あるいは、あらゆる創造性の種が眠る場所と捉えることができるかもしれません。
【究極の静寂と、そこから生まれる新たな活動力へ】
- 第九の階段：「全ての心の働きが滅した、完全な静寂」
これは、心のあらゆる働き、思考や感情、知覚といったものさえも完全に滅した、言葉を超えた絶対的な静寂の状態とされます。
一見すると、「無」や「終わり」を連想させるかもしれませんが、禅定の知恵では、この究極の静寂と休息の中からこそ、真の智慧や活力が生まれ、新たな活動へと繋がっていくと考えられています。
この「九つの成長の階段」は、決して一度登ったら終わりというものではなく、わたしたちの人生の中で、様々な形で繰り返し経験し、深めていくものなのでしょう。
大切なのは、わたしたちの心の成長にも、このような段階的なプロセスがあることを知り、焦らず、しかし着実に、内なる探求を続けていく勇気を持つことです。
禅定の知恵はわたしたちへの贈り物 – 「思考の力」が辿り着く普遍的なエッセンス
「禅定」や「九次第定」といった言葉は、特定の文化や時代背景の中で育まれてきたものです。
しかし、それらが指し示そうとしている「心の鍛錬」や「段階的な成長」というテーマは、時代や文化を超えて、人間がより良く生きようとする際に普遍的に探求してきたテーマではないでしょうか。
世界を見渡せば、様々な哲学や思想、心理学や自己啓発の手法の中に、心を整え、自己を成長させるための知恵が数多く存在します。
それらは、表現方法やアプローチは異なっていても、その根底には、「人間は自らの思考と意志の力によって、より良い状態へと進化していくことができる」という共通の信念が流れているように感じられます。
先代の人々が、自然の中で、あるいは静かな場所で、深く自己と向き合い、思索を重ねる中で掴み取った「心の法則」や「成長の秘訣」。
それらは、現代のわたしたちが直面するストレスや複雑な問題に対処し、より充実した人生を築いていく上で、非常に価値のある「先人からの知恵の贈り物」と言えます。
特定の教えや形式に囚われることではなく、その奥にある「エッセンス」を汲み取ることも大切です。
「禅定」という言葉からわたしたちが学べるエッセンスは、「心を静め、集中力を高めることの重要性」であり、「九次第定」という言葉からは、「成長には段階があり、一歩ずつの積み重ねが大切である」という普遍的な原則を読み取ることができます。
これらのエッセンスを、わたしたち自身の言葉に置き換え、現代の生活の中で実践できる形に落とし込んでいくこと。それこそが、知恵を真に活かし、わたしたちの「益々善成」へと繋げていく道となるでしょう。
科学技術がどれほど進歩しても、わたしたち人間の「心」のあり方や「より良く生きたい」という根源的な願いは、変わらず存在し続けています。
だからこそ、時代を超えて受け継がれてきた知恵には、わたしたちの心を打ち、勇気づける力があるのです。
「益々善成」は、内なる静けさと段階的な成長と共に花開く
「Zenjō」という響きから始まった今回の思索の旅。
「禅定」が目指したかもしれない心の静けさと集中の深まり、そして「九次第定」が示唆する段階的な成長の道筋は、わたしたちが現代において「益々善成」していくための、豊かで示唆に富んだヒントを与えてくれました。
この記事では、あえて宗教的な解釈を避け、これらの言葉が持つ普遍的なエッセンスに光を当ててきました。それは、特定の信仰を持つ持たないに関わらず、わたしたち誰もが、自分自身の内なる力を育み、より良い人生を創造していくことができる、という信念に基づいているからです。
わたしたちの日常は、多くの情報や刺激に満ち溢れ、心が休まる暇もないように感じられるかもしれません。
しかし、そんな時代だからこそ、意識して心を静め、自分自身と深く向き合う時間を持つことの価値は、ますます高まっていると言えるでしょう。
それは、大げさな修行や特別な訓練を必要とするものではありません。
例えば、朝の数分間、静かに呼吸を整えてみることから、わたしたちの心の「落ち着き」は意識的に始めることができます。
そして、日々の生活の中で、新しいことに挑戦したり、できなかったことができるようになったり、人との関わりの中で少しでも優しい気持ちになれたりした時、わたしたちは「九つの成長の階段」を一歩ずつ登っているのかもしれません。
その小さな進歩を喜び、自分自身を認め、励まし続けること。
それが、「益々善成」を、より確かなものにしてくれるでしょう。
「益々善成」の道は、誰かから与えられるものではなく、わたしたち自身が、日々の生活の中で、知恵をヒントに、自分自身の心と体で感じ、考え、創造していく、かけがえのない旅なのです。
その旅路において、心がざわつきそうになった時、「日々新たに、益々よくなる」と唱えてみてください。
そこには、心を静め、本質を見つめ、着実に成長していくための、優しくも力強い言葉のメッセージが込められています。
