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【乾為天・九三】– 君子終日乾乾、夕惕若、厲、无咎

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原文

「九三:君子終日乾乾、夕惕若、厲、无咎。」

書き下し文

九三(きゅうさん):君子(くんし)終日(しゅうじつ)乾乾(けんけん)たり、夕(ゆうべ)に惕若(てきじゃく)たり、厲(あやう)しといえども、咎(とが)无(な)し。

現代語訳

【九三】
君子は一日中、絶えず奮励努力し、夕暮れになってもなお気を引き締めている。危うい状況ではあるが、過ちには至らない。

意味とポイント

● 九三の位置づけ

乾為天の成長プロセスでは、九三は初九(潜龍)・九二(田に龍)を経て、社会における活動が本格化する地点です。
しかし、まだ中央(九五)という安定の地位には届かず、勢いと未熟さが交錯する「危うい盛り」の段階。
このため、「終日乾乾」「夕惕若」という、昼も夜も油断せず自分を律する姿勢が求められます。

● 「終日乾乾・夕惕若」の意味

  • 乾乾(けんけん):天のように絶え間なく動き続け、精進すること。
  • 惕若(てきじゃく):恐れ慎む心。緊張感を保ち、慢心しないこと。

この二つを昼夜問わず保つことで、危うさを乗り越えられると説きます。

● 「厲、无咎」

厲(あやう)し=危険が伴うことは確か。しかし、態度と行動が正しければ「无咎(とがなし)」=過ちはない。
つまり、九三は高いエネルギーと活躍の舞台を得つつも、その力をどうコントロールするかが試される時期です。

成長プロセス内での位置づけ

乾為天の6段階を龍で表すと、九三は「飛び立つ直前の緊張期」。
力は十分に備わっているが、安定の境地(九五)に至る前で、バランスを崩す危険が最も高い地点。
この爻の徳は「自制と継続的努力」にあります。

状況別読み解き

● 仕事

大きな成果が見え始める時だが、油断は禁物。
昇進・評価・責任が一気に押し寄せ、充実感と同時にプレッシャーも強くなります。
ここでの成功は、謙虚さと規律によって支えられます。

✴︎アドバイス:結果よりも「継続と節度」に価値を置こう。

● 人間関係

信頼を得る一方で、誤解を招きやすい時期。
活躍が目立つと嫉妬や反発も生じやすくなります。
発言や態度に慎重になり、関係を壊さない配慮が必要です。

✴︎アドバイス:謙虚な姿勢で、耳を傾ける時間を増やす。

● 恋愛

情熱はあるが、バランスが重要。
相手への思いが強くなりすぎて、行動が急ぎすぎたり、独占的になったりする危険。
距離感を保つことで、関係は安定して発展します。

✴︎アドバイス:燃え上がる心を、静かに温める術を持つ。

● 内面(精神的成長)

自己管理の極みが求められる。
精神的にも肉体的にも高負荷の時期。
その中で規律を保てるかどうかが、次のステージに進めるかの分かれ目になります。

✴︎アドバイス:ルーティンと瞑想で、内なる軸を安定させよう。

● お金・豊かさ

収入が増える兆しだが、浪費リスクも高まる。
勢いのままに出費を増やすと、後で苦しくなる可能性。
この時期は、利益の一部を必ず貯蓄・再投資に回すと吉。

✴︎アドバイス:成功時こそ、倹約を心がける。

一言アドバイス

「力を得た龍は、なお空を見上げ、地を踏みしめよ。」