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【八卦の詳解】「兌(だ)」– 喜びと潤いの泉、わたしたちを輝かせる『悦(よろこ)び』の力

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【八卦の詳解】「兌(だ)」– 喜びと潤いの泉、わたしたちを輝かせる『悦(よろこ)び』の力

1. 卦象(かしょう):

2. 名称(めいしょう): 兌(だ)

【兌】– 喜びの湖、語らいの源泉

卦象と象徴

一番下の陰爻(- -)が、まるで大地にできた窪みのように、上の二つの陽爻(—)が象徴する天からの恵みや喜びを受け止め、満々と水をたたえた「沢(さわ)」の形を表しています。また、この形は、人の「口(くち)」の象徴でもあります。言葉を発し、歌をうたい、そして飲食を楽しむ、喜びの入り口です。

自然界の象徴

沢、湖、沼、谷、湿地、低地、池、星

性質

悦(よろこび)、和む、潤い、社交性、言葉、誘惑、色情、愛嬌、商売、娯楽、雄弁、不信、狭量、毀折、口元

人物における象徴

少女(しょうじょ:末の娘)、巫女、明友、芸妓、ホステス、水商売に関わる人、妾

動物における象徴

物質における象徴

水晶

物価相場

下がり気味や、底値であるとみます

病象

兌が口元の意味から口腔全般(歯も含む)の病、五臓では呼吸器疾患。
口の意味から下半身の口である婦人科系所疾患や性病などが考えられる。

長引く傾向で、慢性化しやすいとみます。

その他

天候 曇天や雨 季節によっては微風が吹く爽やかな天気

季節 秋

方位 先天図 南東 後天図 西

数 易数 2 五行数 4、9

時間 午後5時から7時 酉の時刻

色 白 金

味 辛味

物語

「兌」とは、静かな湖面に光がきらめき、多くの生命が集い、喉を潤す、穏やかで満ち足りた喜びそのものです。それは、人々が自然と集い、語らい、笑い声が響き渡る、平和で和やかなコミュニケーションを象徴します。その温かい交流の中で、心は潤い、新しいアイデアや友情が、まるで沢の岸辺に咲く草花のように、豊かに育まれていきます。 また、「兌」は言葉の力、コミュニケーションの喜びをも象徴します。わたしたちが心を開き、誠実な言葉で他者と心を通わせるための、最も大切なエネルギーなのです。それは、相手を論破するような鋭い言葉ではなく、相手の心に染み渡り、共感と理解を生み出す、潤いに満ちた言葉です。

「麗澤(りたく)」の智慧 – 響き合い、潤し合う、喜びと学びの増幅

「兌」のエネルギーが二つ重なると、易経六十四卦の第五十八卦「兌為沢(だいたく)」となります。その卦の性質を説明する大象伝(たいしょうでん)には、「兌」の本質を鮮やかに示す、**「麗澤(りたく)」**という言葉があります。

「象(しょう)に曰(いわ)く、麗(つら)なる澤(さわ)は兌(だ)なり。君子(くんし)以(もっ)て朋友(ほうゆう)と講習(こうしゅう)す。」 (象伝は言う。沢が二つ連なり、互いに潤し合っているのが兌の形である。君子(人格者)はこれに倣(なら)い、友人たちと共に(学問や道を)講じ、習い修める。)

「麗澤」とは、二つの沢が隣り合い、互いに水を供給し合い、共に潤い、その豊かさを増していく様を表します。これは、「兌」が象徴する喜びや学びが、決して自己完結するものではないことを教えています。一つの沢がその恵みを隣の沢に惜しみなく分け与えることで、両方の沢が共に潤い、より大きな生態系を育むように、わたしたちの喜びや知識、そして智慧もまた、信頼できる友人や仲間と「分かち合う」ことで、何倍にも増幅し、深まっていくのです。 共に語り合い、学び合う(講習す)こと。それこそが、「兌」のエネルギーがもたらす、最高の喜びなのです。

 

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 【わたしたちと「兌」の力】– 人生に喜びと潤いを呼び込む、3つのヒント

では、わたしたちはこの穏やかで、しかし確かな力を持つ「兌」のエネルギーを、日々のために、どのように活していけば良いのでしょうか。

  • ヒント1:日常の中に、「悦(よろこ)び」のアンテナを高く立てる 「兌」のエネルギーを活性化させる最も簡単な第一歩は、日常の中に隠された小さな「悦び」に、意識的に気づくことです。朝の一杯の水の美味しさ、窓から差し込む柔らかな光、ふと耳にした好きな音楽、誰かのさりげない親切な言葉…。わたしたちの毎日は、実はたくさんの小さな「悦び」で満ち溢れています。心のアンテナを高く広げ、当たり前の中にキラリと光る瞬間を、一つひとつ大切に拾い集めてみましょう。その習慣が、わたしたちの心を潤し、感謝の気持ちを育んでくれます。
  • ヒント2:「口(ことば)」に、喜びと感謝、そして潤いを乗せる 「兌」が「口」を象徴するように、わたしたちが発する言葉は、喜びを生み出す魔法の道具となり得ます。不平不満や批判の言葉ではなく、意識して、感謝の言葉(「ありがとう」)、賞賛の言葉(「素敵ですね」)、励ましの言葉(「応援しています」)、そして場を和ませるユーモアを口にしてみませんか。わたしたちが発する温かい言葉は、まず自分自身の心をポジティブにし、そして巡り巡って、周りの人々の心をも潤し、幸せな気持ちで満たしていくことでしょう。
  • ヒント3:「朋友(ほうゆう)と講習(こうしゅう)す」 – 共に学び、語り合える「沢」のような場を持つ あなたの「好き」や「学びたい」という気持ちを、信頼できる仲間と分かち合える場を持っていますか? それは、読書会かもしれませんし、趣味のサークル、あるいはただ心置きなく語り合える友人との時間かもしれません。「麗澤」の智慧が教えるように、互いに教え、学び、そして語り合う時間は、わたしたちの知識を深め、新しい視点を与え、そして何にも代えがたい喜びと、「益々善成」への大きな力をもたらしてくれます。あなた自身の「沢」となり、また誰かの「沢」に加わることで、喜びの輪を広げていきましょう。

【むすび】喜びの波紋を広げて – あなたの笑顔が、世界を潤す最初の雫(しずく)

「八卦の智慧」を巡るわたしたちの旅は、この「兌」をもって一つの円環を閉じます。 天の創造力「乾」に始まり、大地の受容力「坤」に支えられ、雷の「震」で動き出し、風の「巽」で浸透し、水の「坎」で試練を乗り越え、火の「離」で真実を照らし、山の「艮」で内省を深め、そして最後に沢の「兌」で、その全ての経験を、他者との喜びの交流の中で分かち合う。これこそが、「益々善成」の美しいサイクルではないでしょうか。

「兌」の智慧は、特別な場所にあるのではなく、わたしたちの笑顔、温かい言葉、そして人と人とが心を通わせる、何気ない日常の中にこそ、豊かに、そしてキラキラと輝いています。 わたしたちがまず自分自身の心を満たし、その喜びを素直に表現する時、そのエネルギーは、まるで水面に広がる波紋のように、静かに、しかし確実に周囲へと伝わっていきます。

さあ、わたしたちも心の中の「喜びの沢」を満たし、その温かな潤いを、まずは自分自身に、そして大切な人へと、惜しみなく分かち合っていきましょう。あなたのその一つの笑顔が、世界をより美しく、より豊かな場所へと変えていく、素晴らしい、かけがえのない最初の雫なのですから。