原文
「用九:見群龍無首、吉。」
書き下し文
用九(ようきゅう):群龍(ぐんりゅう)首(こうべ)無(な)きを見る。吉(きち)なり。
現代語訳
【用九】
多くの龍が集まっているが、その中に主導者はいない。それは吉である。
意味とポイント
● 用九とは
用九は乾為天だけに現れる特別な爻で、陽の極み(九)をさらに超えた状態を示します。
これは六爻の上に加えられる「第七の爻」であり、全てが陽爻で満たされた後の完成形です。
頂点を極めた先にあるのは、支配や独占ではなく「調和」です。
● 「群龍首無くして吉」の象徴
- 群龍:力や才能を持つ者たち。
- 首無くして:支配者や一人のリーダーがいない状態。
- 吉:統率者がいなくても秩序と調和が保たれている状態が最も良い。
これは、権力が一人に集中せず、全員が自律し協力しあう理想的な社会・組織の姿を表します。
● 教え
完成のさらに先にあるのは、「誰かの下に従う」のではなく、全員が主体的に動く調和の世界。
リーダー不在でも混乱がないのは、各自が自らの役割を理解し、責任を果たしているからです。
成長プロセス内での位置づけ
乾為天の龍は、初九から上九まで成長と変化を重ね、用九で最終段階に至ります。
そこは「最高位の力を持ちながらも、あえて一歩引いて全体を見守る境地」。
ここでは支配ではなく、共存・共栄が完成形として示されます。
状況別読み解き
● 仕事
→ 自律的なチーム運営が成功の鍵。
上からの指示ではなく、メンバー全員が目的を理解し動く状態を作ると、最大の成果が出ます。
✴︎アドバイス:指揮よりも、場を整える役割を意識する。
● 人間関係
→ 上下を作らない関係が吉。
お互いを尊重し、役割に優劣をつけずに協力し合うことで、安定した関係が築けます。
✴︎アドバイス:支配より調和を選ぶ。
● 恋愛
→ 対等で自由な関係が理想。
どちらかが主導しすぎるとバランスが崩れます。
対等で自然体な関係こそ長続きします。
✴︎アドバイス:お互いに主役でいられる関係を保つ。
● 内面(精神的成長)
→ 内なるリーダーシップの確立。
外部の指導者がいなくても、自分自身の価値基準で行動できる境地です。
✴︎アドバイス:自分の軸で動く練習を続ける。
● お金・豊かさ
→ 仲間と豊かさを共有する時期。
分け合うことで、かえって豊かさが増えていきます。
✴︎アドバイス:得たものを循環させよう。
一言アドバイス
「支配はいらない。全員が主役になれば、自然と物事はうまく回る。」